越前打刃物

700年の歴史を持つ越前打刃物。
独特の伝統技法を引き継ぎ、その切れ味は他の追随を許さないものがあります。
長い時代を経て、機器の進化や素材の開発など目覚ましい発展がありますが、伝統の技法を生かしながら現代のニーズに対応した物づくりへの挑戦は、国内はもちろん広く世界に評価されるようになりました。

越前打刃物の歴史

 1337年(南北朝時代)京都の刀匠千代鶴國安が刀剣製作に適した地を求め、府中(現越前市)に来住し、その傍ら近郷の農民たちのために鎌を作ったことが起源とされ、今でも元祖として大切に奉られています。

 鎌や菜切り包丁、鉈など生活の道具としてさかんに製造されるようになると、その品質は定評となりました。江戸時代には福井藩の保護政策により鍛冶屋町、問屋街も整備され、株仲間が組織されるなど、藩政の一翼を担う地場産業となりました。背景には越前漆器に携わる漆かき職人が、旅の糧に全国に持参して歩いたことも販路拡大につながったといわれています。

 700年の時代をめぐり、鎌、菜切包丁、ステンレス系包丁など主要製品は変化しました。2013年に和食が世界遺産に認定されると同時に、包丁の優秀さも認知されるところとなり販路も国内外を問わず拡大し、現在では産地全体がますます活況を呈しています。

越前打刃物の製造工程

包丁(菜切りの場合)の製造工程

  • 01

    鋼づくりと地鉄つくり
    鋼を800℃に加熱し、所定の大きさに鍛造

  • 02

    割り込みと沸かし付け
    地鉄を割り、溝を入れて鋼を入れ込み、鋼と地鉄を鍛接

  • 03

    先付けと切り落とし
    包丁の平らな部分を形づくり、一丁分に切り落とす

  • 04

    中子取り
    柄の中に入る部分を鍛造

  • 05

    二枚広げ
    2枚重ねて所定の大きさに打ち延ばす

  • 06

    なまし
    約800℃に加熱後、空気中で自然放冷

  • 07

    泥おとしと荒ならし
    付着物を取り除き、バルトハンマーで表面をなめらかにする

  • 08

    仕上げならし
    軽く槌で打ち、真っ直ぐに延ばし整える

  • 09

    裁ち廻し
    所定の形に合わせ余分なところを切断

  • 10

    焼入れ
    泥を塗り800℃に加熱後、
    すばやく水で急冷し、焼きを入れる

  • 11

    焼戻し
    鋼にねばりを持たせるため、150~220℃で約30分熱し、
    室温で徐々に冷やす

  • 12

    荒研ぎと中研ぎ
    荒目の砥石でおおまかな形をつくり、
    細目の砥石で刃先を横方向に鋭利に研ぐ

  • 13

    刀付け
    刃の部分を丹念に研ぐ

  • 14

    仕上げ研ぎ
    つやが出るまで磨き、ぼかし機で研ぎ幅の部分をぼかし、
    小刃合わせをして完成

鎌の製造工程

  • 01

    鋼づくりと地鉄づくり
    作る品物によって、巾・厚み・長さを作る

  • 02

    鋼着け
    地鉄と鋼を鍛接した後、鋼の片隅から菱形につぶす

  • 03

    切り落とし
    粗方の寸法に延ばして切る

  • 04

    中子取り
    柄の中に入る部分を鍛造

  • 05

    元延ばし・先延ばし
    品物を二度に分けて延ばす

  • 06

    整形・樋造り
    加熱して、凸凹を小槌で整え、樋を切る

  • 07

    黒打ち
    研磨する部分を叩き、平らにする

  • 08

    小刃研ぎ・裏研ぎ・表研ぎ・表裏磨き
    スケールを取り、ムラなく研磨する

  • 09

    泥塗り・焼入れ
    砥石の粉(泥)を塗って乾燥し、約700〜800℃(材質によって異なる)に加熱後、水または油で急冷する

  • 10

    焼戻し
    鋼にねばりを持たせるため、120〜180℃に加熱する
    (温度は、鋼の種類、鎌の用途によって異なる)

  • 11

    荒研ぎ
    歪み取り、パフ研磨、刃付け(刃を研ぐ)

  • 12

    仕上げ(せんずき)
    表面の余分な軟鉄を銑(せん)で削り取り、刃元を薄くする
    ※銑…鎌と同じ材質でできた鋼を削る道具

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